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大嶋祥誉さんに聞く、トップコンサルタントの“手書き”へのこだわり

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パソコンが普及するこの時代に、「手書き」にこだわる
  • パソコンが普及するこの時代に、「手書き」にこだわる
  • 実際に使ったキャンパスノートの一部
  • 青いペンで書かれた講義用ノート
  • モチベーションを上げるピンクのペンで書かれたプライベートノート
  • お話を伺った大嶋祥誉さん
  • 大嶋さんの著書「マッキンゼーのエリートはノート日何を書いているのか」世界最強のコンサルティング・ファーム、マッキンゼー&カンパニーの社員がたたき込まれる「問題解決のためのノート術」をわかりやすく紹介。 (SBクリエイティブより好評発売中)
 世界最強のコンサルティング・ファームと称されるマッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、人材開発コンサルタントとして各方面で活躍されている大嶋祥誉(おおしま さちよ)さん。トップコンサルタントとしての類いまれな探究心と思考力を支えるもの、その原点とも言えるのが、新入社員時代に徹底して鍛えられたというマッキンゼー流ノート術です。ノートに書くことは、“脳の転写”だと語る大嶋さんに、書くことへのこだわりや独自のノート術を教えていただきました。

◆ノートは問題解決のためのツール

--すごい数のノートですね!

大嶋さん:これはほんの一部で、本当はもっとあるのですけど。講義などを聞いて知識を蓄えるための「キープ用」、「心を整える用」、アイデアを書き留める「仕事用」と大きく3つの用途があります。一定期間保存したら処分するものもありますが、「キープ用」「心を整える用」は大切に保存しておくものなので、お気に入りのキャンパスノートを使っています。

--すべて同じキャンパスノートで統一されていますね。手に取られたきっかけは何ですか。

大嶋さん:キャンパスノート自体は何年も前から使っていました。無意識というか、いつも気づくと手に取っているという感じで、ここ数年のお気に入りはこのオレンジのドット罫線入りキャンパスノート。色使いが好きなんです。このオレンジにシルバーのライン、洗練されていますよね。ドット罫線の機能性、厚みや質感もすべて気に入っています。とにかく、ウキウキするんですよ。インスパイアされそうというか、アイデアがわくような気分になる。まさに“五感が喜ぶノート”なんです。

--マッキンゼーに入社後、新入社員時代に「思考ツール」「問題解決ツール」としてのノート術をたたきこまれたとのことですが、書くことへのこだわりというか、書く行為が変わったのはやはり入社後ですか。

大嶋さん:そうですね。マッキンゼーは“問題解決”のプロ集団。解決すべき真の問題を探り、解決の道筋を整理し、実行するというプロセスをノート上で行うためのノート術が確立されています。学生時代までは学習のためのものでしたが、私の中でノートに対する考え方がまったく別物になりました。

--入社後、ご自身で「一番成長したな」と思われるのはどのようなところでしょうか。

大嶋さん:自ら動くこと、そして自分で考えることですね。目の前の出来事を鵜呑みにせず「なぜ?」と疑ってみて、それを徹底的にリサーチすることを教えられました。今も、本を書くときは膨大な資料を集めて情報収集・分析をします。それが自然にできるのは、マッキンゼーでの経験があったからだと思います。

 そしてもう一つ、言葉にこだわりをもつことですね。コンサルタントという仕事は、目に見えない真の問題を探求する仕事です。問題解決には、何でも具体的に掘り下げる“仮説思考”が欠かせません。たとえば、「社員のモチベーションが低くて困っている」と言われたとします。これだけでは抽象的すぎる。社員の年齢層や職位、職種、働く地域、あるいはこの言葉は個人の「意見」か「事実」かなど、より具体的に捉えなければ真の問題は探り出せません。言葉の背景にあるものを探ろうとするセンサーが敏感になったと思います。

--お子さんの頃からそういう探究心があったのですか。

大嶋さん:そんなことはないと思うんですけど、もしかしたらちょっとオタクっぽい性格だったのかもしれない(笑)。小さいころから本や図書館は好きでしたし、図鑑とかチラシに載っている家の設計図なんかを熱心に見ていた記憶があります。「これ!」と思ったものを探求したがる傾向はあったんでしょうね。

◆自分の気持ちを「手書き」で現す

--ところで、ビジネス以外でもノートを活用されているのでしょうか。

大嶋さん:はい。たとえば、心にあるモヤモヤを解消するための「心を整えるためノート」というものがあって。この場合大切なのは、きれいに書こうとかルールを決めようとか、そんなことはいっさい考えずに、素直に無邪気に自分の内側を“転写する”こと。なんでもいいんですよ。「上司に言われたことが気になる」とか「むかつく!」とか、罵詈雑言でもなんでも(笑)。気が済むまで書きまくって、すっきりしたら一度ノートを閉じる。

 私の場合はどこかに歩きに行ったりしますが、しばらくしてから、ちょうど自分が賢い仙人にでもなったつもりで、次のページに自分で自分にアドバイスを書くんです。これはお気に入りのピンクのペンで。そうすると「私こんなに傷ついていたんだ」とか「案外、大丈夫だ」「上司に相談してみよう」とか、自分を俯瞰することでアイデアや解決策が見えてきます。

--なるほど、ノートの上で自分自身と対話するんですね。ペンも重要ですか。

大嶋さん:最初にモヤモヤを書き出すときは黒です(笑)。講義で使うのは青、プライベートではピンクやオレンジといった明るい色を使うかな。

--ビジネス用もプライベート用もすべて同じノートですが、思考を切り替えるために違うノートを使ったりすることはありますか?

大嶋さん:そうですね。意識して用途ごとにノートを変えるという人もいますが、私の場合、キャンパスノートはずっと大切に保管しておく用のノートだから、同じもののほうが整頓されてキープしておきやすいという意味もあります。

◆夢を叶え、新たな扉を開いてくれるノート

--やはり“手で書く”ことが重要でしょうか。

大嶋さん:やりたいことや欲しいものを書いておく「夢ノート」というものもあるんですが、パソコンで書いていたときよりも、不思議なことに手で書いたほうが実現するんです。脳と手、ノートが直結しているとでも言うんでしょうか。アイデアもそう。ノートはある意味、自分身体の一部で、手を動かすことが刺激になって、脳の中で“点”として存在するアイデアが有機的に結び付きやすくなるんじゃないかな。自分が思っている以上のアイデアが出てくる。だから、まだぼんやりしていること、微妙なものほど、最初は手で書くことが重要だと思っています。

--アイデアを書き出すときのコツは、一言で言うとなんでしょう。

大嶋さん:まず、あまり考え過ぎずに書き始めること。そして、テーマを質問形式にすること。なぜなら、質問形式にすることで、人はそれを探求・検証しようとするから。たとえば、「このノートを50代の男性に売る」ではなく「売るべきか?」と書いてみる。「この人と結婚するべきか」とかね(笑)。時間を決めてさまざまな仮説をリスト化していく。そうすると思ってもみなかった気付きが生まれるはずです。

--もともと習慣的に、書くことが好きだったんですか。

大嶋さん:あまり意識したことはなかったですけど、そういえば昔から考えていることをちまちま書くのは好きだったかな。将来の夢とか、読んだ本のこととか。でも、このオレンジのキャンパスノートが発売されてから、さらにスイッチがONになったのは確かです。なんていうか、知的で宇宙っぽいですよね。“作業”ではなく“創造”にはぴったり。本当にお気に入りだから、廃番になったら困ります!

--うれしい限りですね(笑)。書く姿勢が変わることはありますか。

大嶋さん:ありますよ。ノートに対する考え方が変化したのは、ある講義に参加したときのこと。先生のお話が素晴らしくて、解釈や要約を書きとめるのではなく、一言一句もらさず書き残したいと思ったのです。そこから、ノートをとる楽しさとか良さを再発見したように思います。ある研修に通っていたときは、1週間に1冊使い切ったこともあります。パソコンが普及してしまったけど、皆さんにもっとノートを使ってほしいですね。

--最後に改めて、大嶋さんにとってノートとはなんですか。

大嶋さん:自分でも気づいていなかった新たな扉を開いてくれる“脳戸”だと思っているんですよ。才能や心を開き、自分を表現する媒体となってくれるものではないでしょうか。そして、困ったときに解決策を示してくれる、私にとっての“ドラえもん”ですね(笑)。

--ありがとうございました。

 パソコンが普及している時代に、あえて「手書き」にこだわられている大嶋さん。パソコンでメモを取ったり、アイディア出しをするよりも、ノートに書いたほうが自分の中で腑に落ちるのはなぜだろうと思っていましたが、大嶋さんの「脳と手が直結しているのではないか」というお言葉に納得し、改めて「手書き」の価値を感じました。IT化がさらに進んでいったとしても、ノートはなくなりそうにありませんね。

<大嶋祥誉さん>
 センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。エグゼクティブ・コーチ、組織開発・人材育成コンサルタント。マッキンゼー・アンド・カンパニーで新規事業のフィージビリティスタディ、全社戦略立案、営業戦略立案などのコンサルティングプロジェクトに従事。2002年に独立し現在に至る。
《inspi編集部》

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