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手帳って使いこなさなくちゃいけないのか問題~文具自分紀行・その1

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手帳って使いこなさなくちゃいけないのか問題~文具自分紀行・その1
  • 手帳って使いこなさなくちゃいけないのか問題~文具自分紀行・その1
  • 「記録型」の手帳 コクヨのジブン手帳
  • 「計画型」の手帳 コクヨのPat-mi
◆手帳の目的は大きくふたつ

 手帳を使う目的には、大きく分けてふたつの方向性がある。即ち現在を起点として、「過去」と「未来」、どちらを目指すか、ということだ。

 過去をメインに扱うのは「記録型」の手帳である。過ぎゆく時間を紙面に定着させ、記憶を助け、振り返りを可能にし、いろんなことがあったなぁ、私って結構がんばってるよなぁ、と充実感を得るためのものだ。具体的には、「ほぼ日手帳」やコクヨの「ジブン手帳」、三年日記や十年日記のようなものがこれにあたる。

 逆に未来を扱うのが「計画型」の手帳である。スケジュールを管理し、よりよい計画の立案と行動を可能にするために使われる。いわゆるビジネス手帳の類はほぼこれにあたるといってもいいだろう。管理したい時間のスパンによって、ウィークリーや、マンスリー、ガントチャート等、さまざまなフォーマットが用意されている。

 ここで大切なのは、自分の目的がどちらにあるのかをしっかりと見極め、それに合った手帳を選ぶことだ。仕事の計画を立てることが目的なのに「記録型」の手帳を選んでも、それは使いこなせないのがあたりまえ。1日1ページの「ほぼ日手帳」を使って長期計画を立てようとするなど、そもそもが無理のある話で、それを強引にやることを「使いこなす」とはいわないのである。おい!聞いてるか、新入社員だったころの私よ!

◆目的が複数あれば手帳も複数冊あっていい

 大工道具などを引き合いに出すまでもなく、道具を目的によって使い分けるのは当然のことだが、「手帳が使いこなせない」と悩む人ほど、「手帳は1年に1冊でなければいけない」と妙な使命感を抱いていることが多いように思う。手帳だって目的が違えば、それによって違う種類のものを同時に使ってもいいのである。

 ちなみに今年の私は「ほぼ日手帳」と「ダブルスケジュールダイアリー進行」(ミドリ)の2冊体制だ。記録型の「ほぼ日手帳」は主にネタ帳として、家に置きっ放しで使っている。読書や映画鑑賞、運動等、プライベートでの行動記録も一緒に書き込んでいる。

 仕事のスケジュール管理は会社指定であるGoogleカレンダーをベースにしつつ、デジタルではやや物足りない月単位かそれ以上のスパンでの一覧性を補うために、マンスリーとガントチャートが1冊にまとまった「ダブルスケジュールダイアリー進行」を併用している。こちらは仕事でしか使わないので、基本的に職場に置きっ放しだ。

◆「手帳習慣」の作り方

 さて、目的もわかった、それに合った道具も選んだ。でもやっぱり「手帳が使いこなせない」と悩んでいる人は、手帳の運用、即ち「習慣づけ」がうまく働いていないことが多い。

 手帳は「書いては見返す」を繰り返すことで、はじめて価値が出るものである。まず書き込まなければ時間が可視化されないし、可視化されたところでそれを見なければ振り返りにも計画にも役に立たない。いかに書くこと、見返すことを習慣づけられるかが勝負といってもいい。

 そうはいってもこれがなかなか大変。面倒くさかったり忘れたりで気がつけば手帳からフェードアウト…。私も身に覚えがある。なので考えた。どうすればこの問題を解決できるのか? 考えに考えてたどり着いた答えは非常にシンプルで、それは「手帳を見る」という予定を手帳に書く、というものであった。

 …いや、冗談ではない。どこまでも本気だ。実際、私は「手帳を見る」というリマインダーを日次で設定している。とにかく習慣が身につくまでは、なんらかのアラートが出るようにしておくのが有効なのだ。

 まずは1日1回、5分でいいのである。私はだいたい朝、Googleカレンダーと仕事用の手帳の同期をとり、先の予定をパラパラと確認するようにしている。かつては予定が発生する都度、両方に書きこんでいたが、これがとにかく面倒で続かなかった。無理は禁物と、思い切って1日1回というルールにしたら、難なく習慣にすることができた。同期が完全でないことに当初は不安もあったが、現在までのところそれで特に困ったことはない。私にとっては、「1日1回5分」が手間と効果のバランスがちょうどいい「落としどころ」だったのだ。

◆「手帳は1年に1冊」じゃなくてもいいじゃない

 今回は自分のことを色々と例にとったけれど、これはあくまでも「私」のケースであって、誰にでも適用できるやり方であるとは考えていない。それと同様に、どんなに手帳術の本や雑誌を読んでも、そこに「あなたと同じ人」はいないのだから、そのまま使える「正解」はどこにもない、ということになる。

 自分が何をしたいのか、どんな時間を過ごしたいのかを知っているのは自分だけだし、どんな手帳が合うのかだって、とにかく失敗もしながら自分で使って試してみるしかないのだ。

 それに先にも述べたが、「手帳は1年に1冊しか使ってはいけない」という縛りもないのである。合わない手帳を無理して使い続けることは「使いこなし」でもなんでもない。ただのガマンだ。時間は有限、ガマンして1年が終わってはつまらない。合わないと思ったら、使いかけでもどんどん替えてしまえばいいのだ。それは別に恥ずかしいことでもなんでもないし、そのことであなたが手帳に対して引け目を感じる必要もない。ただの「文具性の不一致」、というやつだ。

 手帳を考えることは、人生を考えること。手帳シーズンの売り場から沸き立つ高揚感は、引っ越し前に間取り図を眺めているとき、あるいは旅行の計画を立てながらガイドブックを眺めているときのワクワク感に似ている。この先に待っている時間はきっとステキに違いないという漠然とした期待感、あるいはそうなるようにがんばるぞ、という意志。それを感じることこそが、手帳について考える醍醐味かもしれない。

ヨシムラマリ
1983年生まれ、神奈川県出身。会社員として働くかたわら、イラスト制作を手がける。日常の「あっ」という瞬間をイラストと文章で切り取るブログ「コロメガネ」を運営。また、文房具マニアとしてワークショップ、イベントでも活動中。

《ヨシムラマリ》

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