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万年筆と、書くことの快感~文具自分紀行・その5

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万年筆と、書くことの快感~文具自分紀行・その5
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  • 装丁ノート<RECORD BOOK Century Edition>は万年筆にも最適な紙質のノート
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◆「書く」ことの肉体的な快感

 筆記具であるところの万年筆の快感は、ずばり「書く」という行為を通じて得られるものである。万年筆での筆記によってもたらされる肉体的な快感は、他の筆記具にはない独特のもので、一度その味を知ってしまうと抜け出せず、我々のような「常習者」への道をまっしぐら、というのも決して珍しいケースではない。

 筆記具の書き心地を特徴づけるのは、主に「筆圧」と「摩擦」というふたつの力の大小やバランスである。「筆圧」はペン先を紙に押し当てる垂直方向の力のこと。「摩擦」は、ペン先を紙上で移動させる際に生じる水平方向の力のことである。一般的には、このふたつの力の掛け合わせが小さいほど、「軽い」「なめらか」と表現されるような書き心地になるといわれている。

 例えば、ボールペンではペン先のボールにまとわりついたインクを紙に「なすりつける」ことで筆記する。そのため、一定以上の「筆圧」でボールを紙に押し当てながらペン先を動かすことが原理上どうしても必要だ。そこで近年台頭している低粘度油性タイプのボールペンは、インクの粘度を下げることで「摩擦」を低減し、「なめらかな書き心地」を実現しているのだ。

 一方、万年筆は毛細管現象を利用しているため、ペン先がほんのわずかでも接していればインクを紙に移すことができる。よって、必要な「筆圧」は限りなくゼロに近い。だが、金属製のペン先が紙上を移動する「摩擦」は意外にもそれほど小さくない。実はこれがポイントなのだ。

 日本語はカーブやカドが多く、トメ・ハネ・ハライをピタリと決めるペン先の精密な操作が要求される。適度な摩擦は、これを助けてくれるのだ。摩擦が小さすぎるとペン先が逃げ、ブレーキの効きにくい車で曲がりくねった山道を運転するかのように、人によっては「書きづらい」と感じてしまう。「必要な筆圧はゼロに近いが、適度に摩擦がある」万年筆は、ペン先を紙に押し当てることに意識と体力を使わずに、「書く」という操作の楽しさ、気持ちよさだけを純粋に味わえる、いわば筆記具界のラグジュアリーカーなのだ。

◆「書く」ために「書く」ことの精神的な快感

 さて、こうした万年筆の操作感、書き心地の虜になると、人によっては「万年筆以外の筆記具では何も書きたくない」という極端な精神状態を経たりして、文字を書くことによって生じる快感をただ味わいたいがために、「書く」ために「書く」という段階に入っていくことになる。即ち、行為自体が目的化された状態である。

 だが、「書く」ためには何かしらの内容、文章が必要だ。本や新聞の抜き書きをしたりする人もいるが、私のオススメは「モーニングページ」である。モーニングページは、『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』(ジュリア・キャメロン著)という本の中で紹介されている、「ただ手を動かし、心に浮かんでくるものをそのまま書きとめる」というワークである(※)。モーニングページという言葉は知らなかった、という方でも、これに近いことを自然にやっている場合も少なくないのではないだろうか。

※本の中では「朝」「15分」「3ページ」で書くことが奨励されているが、原著が英語であることを鑑みて、個人的には日本語であれば分量は「大学ノート1ページ」程度が妥当かと思う。言語上の特性として、英語と日本語なら日本語の方が少ない文字数で同じ内容を表現できるからだ。
《ヨシムラマリ》

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