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宇宙のことまで考える? 『コクヨのシンプル整理術』

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コクヨのシンプル整理術
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 「整理」と聞くと、まず「片づけ」という言葉を思い浮かべる人は多いのではないか。

 先ごろ発売された書籍『仕事がサクサクはかどる コクヨのシンプル整理術』(KADOKAWA)では、片づけに限らずコクヨ社員が実践している様々な整理術が紹介されている。整理術はいずれも生産性の向上を目的としたものばかりだ。「コンパクトに収める」「検索性にこだわる」「モチベーションを上げる」「仕事の自由度を上げる」という4つの観点で分類された計100の方法が登場する。ミニマルや断捨離といった物を減らす思想に寄ったものばかりではない(むしろ真逆に思えるものもある)ため、すぐにでも真似したいと思えるテクニックが本書には多い。

 中でも個人的に目を引かれたのが、「職場と自宅で同じ文具をそろえる」という方法だ。自宅で仕事をすることも多いため、職場で使っている仕事道具をもう1セット自宅用に買い揃えた、というテクニックである。持ち歩く荷物を減らすために思いついた工夫だというが、「二つの場所に同じ道具を用意し、同じ環境を作り出す」点で思い出すのが、映画「アポロ13」で描かれていたNASAの宇宙開発だ。

 アポロ計画とは言わずと知れたアメリカの有人宇宙飛行計画である。1961年から72年にかけて行われ、6回の有人月面着陸を成功させている。その中で、映画のモチーフとなった13号は数々のトラブルに見舞われ月面着陸に失敗するも、乗組員や地上のスタッフたちの懸命な努力によって地球への帰還を果たしたミッションだ。乗組員は全員無事で、後に「成功した失敗」「栄光ある失敗」と称えられるようになる。映画では13号の訓練から打ち上げ、帰還までを丁寧に描く。劇映画として脚色はされているものの、起こるトラブルは史実通り。それが「一難去ってまた一難」を地で行くようなタイミングで巻き起こる。

 本作のどこに「整理術」と響きあう要素があるかといえば、トラブルが起きた際に地上スタッフが乗組員たちをサポートする方法だ。NASAでは実際に飛行中の宇宙船と全く同じ資材・機材を使った原寸大の模型――つまり環境を作り、万一の場合に備えていたのである。宇宙船が電力不足となれば、模型でも同じ条件を作り出し、専門の技術者たちが不足を解消する術を考える。そうして弾き出された解決策を乗組員に伝え、実行させる。乗れる人数が限られる宇宙船だからこそ、こうした方法は必要だった。

 ここで重要なのが、宇宙船と地上の模型がネジ一本に至るまで全く同じであるということだ。少しでも相違があれば、このサポート体制は意味を成さない。地上の模型で出来ることは宇宙船でも出来る。このサポートは「完全に同じ」であることに対する信頼に基づいているとも言える。「完全に同じ」だから、乗組員たちは他に助けてくれる者のいない広大な宇宙空間へと飛び立つことが出来たのだ。

 同じ信頼は、宇宙に行かずとも感じる機会がある。例えば職場と自宅の机だ。双方に同じ道具を揃えておけば、場所を移った際にも同じ作業を行うことが出来る。職場と全く同じ環境が整っているのであれば、最近耳にすることの多いテレワークにも気軽に取り組めるのではないか。

 思わず宇宙のことまで考えてしまう(?)『コクヨのシンプル整理術』には、他にもバラエティに富んだ整理術が多数掲載されている。是非、実際に本を手に取って確かめていただきたい。

東十条王子
鉛筆シャープの書き心地に夢中です。落書きばかりしています。文房具に関する知識はまだまだなので、勉強していきたいと思います。ちなみに名前は駅名です。どこかの王族ではありません。

《東十条王子》

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