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「男性の育休」のリアル~その2「主夫力をつける」

ハウス食品株式会社に勤務する豊田陽介さんは、第3子の誕生をきっかけに1年間の育休に踏み切り、主夫として家族とじっくり向き合った。豊田さん自身と家族、職場のメンバーが過ごした1年間の軌跡を4回シリーズでお届け。

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 ハウス食品株式会社に勤務する豊田陽介さんは、第3子の誕生をきっかけに1年間の育休に踏み切り、主夫として家族とじっくり向き合った。豊田さん自身と家族、職場のメンバーが過ごした1年間の軌跡を4回シリーズでお届け。

 今回は、育休当初に豊田さんが感じた困難を乗り越えるプロセスや、育休の前後で家族に生じた変化を紹介する。

何もかも1人でやろうとせず、自然な形で家事を分担



 育休に入る前は「家事と育児をすべて自分1人で!」と意気込んでいた豊田さんだが、実際に取り組んでいくうちに、「夫は料理、妻は掃除と洗濯、育児は2人で」という夫婦の役割分担が自然とできあがった。

「洗濯物のたたみ方や掃除の手順には彼女なりのこだわりがあって、『そこは私がやるから』と持ち分を取り返されたんです。ただ、妻はこのときも含めて、僕の家事のやり方に文句を言ってきたことはありません。気に入らなければ自分でやる、というスタンスです。妻から見たら、シンマイ主夫の家事育児は突っ込みどころ満載だったと思いますが、うまく泳がせてくれたことに感謝しています。おかげで、育休中に夫婦でぶつかることはほとんどなかったですね」

「男性の育休」のリアル~その2「 主夫力をつける」

完璧を目指すのをやめたら、家事が楽しくなった



 家事や育児と一口に言っても実に幅広いが、主夫として過ごした1年間で豊田さんが特に自信をつけたのは料理だという。

「毎日献立のことを考えて過ごしているうちに、冷蔵庫にあるものを使ってサッと一食つくれるぐらいにはなりました」

 一方で、「栄養バランスがよく、子どもが喜んで食べる献立を考える」といった完璧主義はあきらめたという。

「例えば野菜料理を1品増やしても、子どもは口をつけてくれないこともしばしばでした。だったら子どもが食べそうなメニューを2~3品準備し、後は『こどもにだって生きる力は備わっているわけだから、必要な栄養が多少不足したとしても死にはしない』と割り切ることにしました」

 一人で意気込んでも、子どもは親の思い通りに考えたり行動したりするわけではない。当たり前の事実に改めて気づいたことで肩の力が抜け、豊田さんは家事や育児を楽しめるようになったという。

日々のやりとりが増えたことで、子どもたちとの心の距離も縮まった



 第3子である次女の夜間授乳中は大変だったが、夜中に起きる回数が減ってきた3か月目から、育児を楽しむ余裕が出てきたという。

「子どもが相手ですから、自分でコントロールできない部分が多く、戸惑いの連続です。でも、寝返りを初めて打ったり、おしゃべりができなかった娘が『パパ』と口にしたりする瞬間に立ち合ったときは、本当にうれしくて。予測がつかないからこそ喜びも大きいんだな、と感じました」

 家で過ごす毎日の中で、8歳だった長男や3歳だった長女との関係性にも変化が起こった。特に変わったのは、長男との心的距離が近づいたことだという。豊田さんがその変化を強く感じたのは、長男のあるひと言がきっかけだった。

「長男は昆虫採集が好きで、放っておくと1日中カブトムシやクワガタを探して外を走り回っています。でも親としては、いろいろな経験をして視野を拡げてほしいので、違うこともやってみようよ、とあちこちに連れ出したくなります。そんな中で、『僕のことを考えてくれるのはありがたいけど、だったら虫取りだけさせて』と言われてしまって」

「男性の育休」のリアル~その2「 主夫力をつける」

 無理やり連れてったプログラミング教室で、授業を受けずに暴言を書き連ねた長男。

 初めはショックを受けた豊田さんだが、少し時間を置いて考えてみると、「いいことかもしれないな」と感じるようになったという。

「今までのように、週末に一緒に遊ぶぐらいの間柄なら『気が進まないけど、お父さんの言うことをきいておこうかな』となっていたかもしれない。親の期待に応えたいがために、本当はやりたくないのに楽しいフリをしてしまう子も多いと聞く中で、しっかりと自己主張できることはすばらしいことだなと思うようになりました。そう思えるようになったのも、ストレートに反応を返してくれる息子のおかげ。こどもから学ぶことは本当に多い、子育ては奥が深いです」

 長男が遠慮せずに言いたいことをぶつけられたのは、日々のやりとり積み重ねの中で信頼関係がきちんとできているからこそだ。これも1年間の育休で得られた大きな収穫だった。

夫は家事力、妻は稼ぎ力をつける



 変化という点では、夫妻が家庭で担う役割も育休前後で変化した。豊田さんの育休前は専業主婦だった妻に、豊田さんは「働きに出ては」と持ちかけたという。

「家事や育児がとても大切で尊いものだということは、1年間の育休を通じて身をもって理解できました。それでもなお、働いて社会と接点をもつことは大切だと感じています。それに今の時代、家庭の中で1人しか稼ぎ手がいないのも、逆に1人で家事を担うのも不安です。どちらかが倒れたら、生活が回らなくなってしまうわけですから。そこで妻には、『俺は家事力、君は稼ぎ力をつけよう』と提案しました」

 豊田さんの意見に説得力を感じた妻は、出産数か月後からパートタイムで働き始めた。久しぶりにワーカーとして社会とつながりをもつようになった妻は、「自分の居場所がもう一つ増えて楽しくなった」と喜んでいるという。

つづきはこちら
《横堀夏代 WorMo'より》

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